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猫の門脈体循環シャントとは?症状と治療方法について


猫ちゃんと獣医師

猫にも発症することがある「門脈体循環シャント」という病気についてお話しします。この病気は、犬に多いことで知られていますが、猫もかかることがあります。では、門脈体循環シャントとはどんな病気なのか、どのような症状が現れるのか、そしてその治療方法や予防方法について詳しく見ていきましょう。


門脈体循環シャントとは?

まず、私たちの体には、大小さまざまな血管が全身に広がっています。心臓から血液を送り出す血管を「動脈」、心臓に血液を戻す血管を「静脈」と呼びます。これとは別に「門脈」と呼ばれる特別な血管があります。門脈は、消化器官から肝臓へ栄養を運ぶ重要な役割を担っています。

一方、「シャント」とは、本来の血管以外にできた血液の通り道を指します。門脈体循環シャントでは、本来肝臓に送られるはずの血液が、このシャントを通ってしまい、直接静脈に流れ込んでしまいます。これによって、体に様々な不調が生じるのです。


門脈体循環シャントの症状や原因

こんにちは、猫好きの皆さん!今日は、猫にも発症することがある「門脈体循環シャント」について詳しくお話しします。この病気がどのように発症し、どんな症状が現れるのかをわかりやすく説明していきますね。


症状

門脈体循環シャントでは、血液中のアンモニア濃度が高くなることがよくあります。アンモニアは本来、肝臓で解毒されるべきですが、シャントがあるとそのプロセスがうまく機能しません。その結果、以下のような症状が現れます。


  • 神経症状: ふらつきや痙攣など、神経に関する異常が見られます。

  • 食欲不振: 食べることに対する興味を失うことがあります。

  • 体重減少: 食欲不振による体重減少が見られます。


原因

門脈体循環シャントの原因は大きく分けて先天的なものと後天的なものの2つがあります。


先天的な原因

これは遺伝的な血管構造の異常によるものです。多くの場合、門脈と後大静脈の間に形成される「門脈後大静脈シャント」が見られます。短絡した血管が肝臓の外側にある「肝外シャント」や、肝臓内に形成される「肝内シャント」もあります。これらの要因が複合しているケースもあります。


後天的な原因

門脈の血流異常が原因で発症することがあります。門脈圧が上昇することが発症の引き金になります。これを引き起こす要因には、肝炎や肝硬変、肝線維症、胆管炎などの肝臓の基礎疾患があります。


猫における発症率

猫における門脈体循環シャントの発生率は約2%とされ、犬に比べると発症する頻度は低いです。しかし、発症した場合は早期に対応することが重要です。



猫ちゃんと獣医師

門脈体循環シャントによる猫の不調と症状

猫に発症することがある「猫の門脈体循環シャント」について詳しくお話しします。この病気が引き起こす様々な不調や症状について、わかりやすくご紹介しますね。


食後に症状が出やすい理由

門脈体循環シャントによる不調は、特に食後に現れやすいです。食事を摂ると栄養が体に取り込まれますが、短絡血管の影響で血液中のアンモニア濃度が上昇しやすくなるためです。この状態によって神経系に異常が現れることを「肝性脳症」と呼びます。


具体的な症状

よだれ

高アンモニア血症になると、脳や神経に悪影響が及びます。その一つの症状がよだれの増加です。これは、アンモニアが悪心を引き起こすためで、吐き気を催すこともあります。


食欲不振

悪心が原因で食欲が低下することがあります。長期間にわたって食欲が低い状態が続くと、体重が減少したり、成長が遅れたりすることがあります。


尿石の形成

血中のアンモニア濃度が高い状態が続くと、アンモニアを核とした尿石が形成されます。本来アンモニアは肝臓で代謝されるべきですが、その機能が十分に働かないためです。その結果、血中の尿酸値も上昇し、尿中に結晶が検出されるほか、結石ができることもあります。


行動の異常

血液中に高濃度のアンモニアが存在すると、神経に影響が現れます。てんかんのようなけいれんや、歩き方がふらつく様子が見られることがあります。また、視力の低下や失明、重度の場合は意識障害を引き起こすこともあります。このような状態が続くと、生命維持にも影響が及ぶ可能性があります。



猫ちゃんと獣医師

門脈体循環シャントの診断・治療法

今回は、猫に発症することがある「門脈体循環シャント」について、詳しくお話しします。この病気がどのように診断され、どのような治療法があるのかを詳しくご紹介しますね。


診断方法

門脈体循環シャントの診断には、いくつかの方法があります。これらの方法を組み合わせることで、正確な診断が行われます。


  • 血液検査 血液検査では、血液中のアンモニア濃度を測定します。アンモニア濃度が高い場合、肝臓での解毒機能がうまく働いていない可能性が考えられます。これにより、門脈体循環シャントの疑いが強まります。

  • 超音波検査 超音波を使って肝臓や血管の状態を詳しく調べます。超音波検査は非侵襲的で、猫に対する負担が少ないため、初期診断に適しています。肝臓の形状や血流の異常を確認するのに役立ちます。

  • CTスキャン CTスキャンを用いることで、詳細な画像を取得できます。これにより、シャントの位置や大きさを正確に把握することが可能です。CTスキャンは立体的な画像を提供するため、血管の異常を詳細に確認できます。

  • 造影検査 造影剤を使用して血管の流れを観察します。造影検査は、異常な血管を特定するために非常に有効です。血管の中に造影剤を注入し、その動きを観察することで、シャントの存在を明確にします。

これらの検査を組み合わせることで、より正確な診断が可能となります。


治療法

門脈体循環シャントの治療法には、外科的治療と内科的治療があります。以下に、それぞれの治療法について詳しく説明します。


外科的治療
  • シャント閉鎖手術 異常な血管を閉鎖する手術が一般的です。この手術により、血液が正常な経路を通るように修正します。手術は全身麻酔下で行われ、熟練した外科医によって慎重に進められます。

  • 血管クリップの使用 血管クリップを使ってシャントを徐々に閉じていく方法もあります。これにより、血流が徐々に正常に戻ります。クリップの使用は、急激な血流変化を避けるための手法として効果的です。


内科的治療
  • 食事療法 低タンパク質の食事を与えることで、血液中のアンモニア濃度を抑えます。特別な療法食が推奨されることが多く、獣医師の指導のもとで適切な食事管理が行われます。

  • 薬物療法 アンモニアを減少させる薬を使用します。例えば、乳酸菌や抗生物質が使われることがあります。これらの薬物は、腸内でのアンモニア産生を抑制し、血中アンモニア濃度の低下に寄与します。


継続的なケア
  • 定期的な検査 治療後も定期的に検査を行い、状態をチェックします。定期的な血液検査や超音波検査を通じて、治療の効果を確認し、再発の兆候を早期に発見することが重要です。

  • 適切な栄養管理 食事療法を続けることで、症状の再発を防ぎます。日常的なケアとして、適切な栄養管理が不可欠です。飼い主さんは、獣医師の指導に従って、猫にとって最適な食事を提供するよう努めましょう。


門脈体循環シャントの治療費はどのくらい?

猫の「門脈体循環シャント」の治療費についてお話しします。治療を受ける際の費用がどのくらいかかるのか、具体的にご紹介しますね。


治療費の目安

門脈体循環シャントの治療費は、診断方法や治療内容によって大きく異なります。以下に、一般的な治療費の目安を示します。


診断費用
  • 血液検査: 5,000円〜10,000円程度 血液中のアンモニア濃度を測定するための費用です。

  • 超音波検査: 10,000円〜20,000円程度 肝臓や血管の状態を確認するための費用です。

  • CTスキャン: 30,000円〜50,000円程度 詳細な画像を取得するための費用です。

  • 造影検査: 20,000円〜40,000円程度 血管の流れを観察するための費用です。


治療費用
  • 外科的治療: 300,000円〜500,000円程度 シャント閉鎖手術や血管クリップを使用する手術の費用です。手術の難易度や施設によって費用は変わります。

  • 内科的治療: 月額10,000円〜20,000円程度 食事療法や薬物療法にかかる費用です。療法食や薬の種類によって費用が異なります。


継続的なケア費用
  • 定期検査: 1回あたり10,000円〜30,000円程度 治療後の定期的な血液検査や超音波検査の費用です。

  • 栄養管理: 月額5,000円〜10,000円程度 療法食の購入費用です。猫の体重や健康状態に応じて費用が変わります。



門脈体循環シャントの予防法はある?

猫の「門脈体循環シャント」の予防法についてお話しします。この病気を予防するためには、どのようなことができるのか、詳しくご紹介しますね。


門脈体循環シャントの予防法

門脈体循環シャントは、先天的な要因によって発症することが多い病気です。そのため、完全な予防法は難しいですが、発症リスクを減らすためにできることがあります。


  1. 定期的な健康チェック 早期発見が重要です。定期的に獣医さんで健康チェックを受けることで、病気の兆候を早期に見つけることができます。特に、子猫の時期には定期的な検診を欠かさず行いましょう。

  2. 適切な栄養管理 バランスの取れた食事を与えることが、全体的な健康維持に役立ちます。質の高いキャットフードを選び、栄養バランスを保つように心がけましょう。また、過剰なタンパク質摂取を避けるために、獣医さんのアドバイスを受けるのも良いでしょう。

  3. 遺伝的要因の管理 繁殖において、遺伝的にリスクの高い猫同士の交配を避けるようにすることが重要です。信頼できるブリーダーから迎え入れることで、遺伝性疾患のリスクを低減することができます。

  4. ストレスの軽減 猫にとってストレスは健康に悪影響を与えることがあります。快適な環境を整え、ストレスを減らすことも予防の一環です。リラックスできる場所を提供し、日常的に遊んであげることが大切です。



猫ちゃんと獣医師


まとめ

門脈体循環シャントは、猫の健康に大きな影響を与える病気ですが、早期発見と適切な治療によって、症状を管理し、質の高い生活を送ることができます。愛猫の健康を守るために、日常のケアと定期的な検診を大切にしましょう。家族の愛情とサポートで、愛猫が穏やかに過ごせるよう心がけてくださいね。

この情報が、愛猫の健康管理に少しでも役立てば嬉しいです。愛猫との幸せな時間を大切にし、健康で楽しい毎日を送ってください。

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