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猫の喘息について(原因と予防)



猫ちゃんと飼い主

猫も人間と同じように、喘息の症状を示すことがあります。いわゆる「猫の喘息」は、繰り返し咳をしたり、ぜえぜえと苦しそうな呼吸をしたりすることが特徴です。喘息が進行すると、気管や肺の機能が低下し、呼吸が速くなったり、疲れやすくなって遊ばなくなったりします。喘息は完治が難しい疾患ですが、重症化を防ぐために症状をコントロールしていくことが重要です。


猫喘息の主な原因と予防対策

猫の喘息について主な原因はアレルギーです。猫が喘息を起こすのは、何かしらの物質に対して過敏に反応し、気道が狭くなったり、気道粘膜が炎症を起こすためです。これが「アレルギー反応」と呼ばれるものです。

猫喘息を引き起こすアレルゲンには、以下のようなものがあります。

  • タバコの煙

  • ハウスダストや家庭の埃

  • 猫砂の埃

  • 香水や芳香剤

  • 消臭剤やヘアスプレーなどの化学物質

  • 特定の食べ物

  • 花粉

アレルゲンを特定するのは難しいかもしれませんが、空気清浄機を使ったり、掃除をこまめに行うなどして、生活環境からアレルゲンをできるだけ除去する工夫が大切です。また、猫砂や家庭用化学製品を見直すことも有効です。



猫ちゃんと飼い主


「喘息持ちで時々発作が出る」「子供の頃に小児喘息だった」という方も多いかと思いますが、実は猫も「喘息」になることをご存じですか?猫は、動物の中でも珍しく、人と似た症状で喘息を起こします。しかし、猫は自分から「苦しい」とは言えないため、気が付いたときには重篤な状態になっていることもあります。ここでは、猫の喘息の兆候や治療の必要性についてご紹介します。


猫の呼吸器にも、人の喘息とよく似た症状が現れるため、「猫喘息」という疾患が定義されています。猫喘息では、気道が特定の物質(アレルゲン)に過敏に反応し、気道が狭くなったり炎症を起こしたりして、呼吸困難が引き起こされます。この反応はアレルギー反応と呼ばれ、猫の免疫系が関与しています。

アレルギーが発症するかどうかは猫の体質によります。同じアレルゲンでも、喘息を発症する猫とそうでない猫がいます。また、人の場合は子供に多いですが、猫では様々な年齢で発症しやすく、特に中年齢以上で多いとされています。


「どういったアレルギーが喘息の原因?」

人の場合、喘息を引き起こすアレルゲンはアレルギー検査で特定できることがあります。猫でも、アレルギー検査を通じて猫喘息の原因となる可能性が高いアレルゲンを特定することが可能です。ただし、アレルギー検査だけで確定診断を行うのは難しいため、血液検査やX線検査などを組み合わせて総合的に判断する必要があります。

猫喘息を引き起こす可能性のあるアレルゲンには、タバコの煙、ハウスダスト、猫砂の埃、香水や芳香剤、家庭で使用される消臭剤やヘアスプレー、特定の食べ物、花粉などが含まれます。また、気候や環境の変化、強いストレス、激しい運動なども喘息を悪化させる要因とされています。


「どんな症状?」

猫喘息の症状として、以下のものが挙げられます。主な症状は咳で、発作が治まると普段の状態に戻ることがほとんどですが、場合によっては重篤な症状となり命に関わることもあります。また、すべての症状が現れるわけではなく、他の疾患でも同様の症状が見られることがあります。これらの症状に該当する場合は、病気の兆候の可能性があるため、早めに動物病院で診察を受けることをおすすめします。


「咳」

猫は通常、頻繁に咳をする動物ではありません。猫が断続的に繰り返し咳をしたり、発作的に1分以上連続で咳をする場合は注意が必要です。人間の「コンコン」という咳とは異なり、猫の典型的な咳は、うつ伏せになり顎を伸ばして軽く舌を出し、短く「ゲッゲッ」や「ズーズー」という音を立てます。その後、気持ち悪そうに舌なめずりをしたり、時には嘔吐することもあります。

飼い主にとっては、この動作が咳とは認識しづらいかもしれません。普段と違う動作をしていると感じたら、その様子を動画に撮り、獣医師に見せると良いでしょう。また、咳が発生する時間やタイミング、継続時間を詳細に記録しておくと、症状の重篤度を判断する助けになります。



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「喘鳴(ぜんめい)」

喘息がある場合、気管の炎症によって分泌物が増え、気道が狭くなるため、呼吸時に「ヒューヒュー」という音が聞こえることがあります。この音を「喘鳴(ぜんめい)」と呼びます。異常かどうか分からなくても、猫の呼吸に耳を澄ませて、普段と違う音が聞こえるか確認しましょう。特に呼吸音が異なる時は、猫が苦しそうにしていないか、呼吸回数が増えていないかを注意深く観察することが重要です。


「呼吸回数が多い」

喘息が進行すると、気管や肺の機能が低下し、通常よりも呼吸回数が増加し、すぐに疲れて活発さが減少することがあります。猫の正常な呼吸回数は1分間に約20〜40回ですから、定期的に通常の呼吸回数を確認しておくと良いでしょう。


「口を開けて呼吸し、口や舌が紫色に見える

猫が口を開けて呼吸するとき、苦しそうな表情を見せる場合、それは深刻な状態かもしれません。このとき、口や舌が紫色になっている場合は、「チアノーゼ」と呼ばれ、体内の酸素が不足している可能性があります。直ちに動物病院に連絡し、緊急対応をしてもらうべきです。喘息を持つ猫は、突然の喘息発作で重篤な状態に陥ることがあります。そのため、喘息の診断を受けたばかりの猫や長期間喘息を患っている猫も、このような状況になる可能性があることに留意が必要です。


「治療法は?治療費は?」

猫の喘息は、他の呼吸器疾患を除外した上で、咳や喘鳴が繰り返し発生するか、発作的な咳が見られる場合に治療が必要です。通常は内科療法が中心で、抗炎症薬や気管支拡張薬を使いながら症状を管理していきます。しかし、喘息は完治が難しいため、定期的に治療を続けて症状をコントロールする必要があります。治療を途中で中断せず、獣医師との相談を怠らないようにしましょう。

症状が悪化してから治療を始めると、効果が薄れたり症状が悪化したりすることがあります。早めに動物病院を受診し、獣医師と連携しながら治療を進めることが大切です。次に、喘息発作時の緊急対応と定期的な維持治療方法について紹介します。


「喘息が起きた時の緊急対応」

猫が咳と同時に口を開けて苦しそうなチアノーゼの状態になっている場合、直ちに動物病院を訪れて専門家の管理下で酸素療法と気道の炎症を抑える治療を受ける必要があります。発作を繰り返す猫には、自宅に酸素療法の設備を用意することも考えられます。また、吸入器を用いて自宅で治療を行う方法もありますが、猫が嫌がる可能性があるため、処置の適切さを獣医師と十分に相談しましょう。


「喘息の治療」

猫の喘息症状が見られない場合、通常の生活を送る猫には、定期的にステロイドや気管支拡張剤といった抗炎症薬を投与して症状の発現を抑える治療が行われます。これらの治療は主に飲み薬で行われ、喘息の状態に応じて毎日投与する場合もあれば、数日に一度の投与で十分な場合もあります。吸入器を用いた治療も選択肢の一つで、猫にとって負担の少ない方法を獣医師と相談しながら選ぶことが重要です。

アレルゲンに触れる機会を減らすことも重要な治療の一環です。アレルゲンが特定できなくても、アレルゲンとなる可能性のある物質をリストアップし、生活環境から減らしていくことが効果的です。また、空気清浄機を活用することも考えられます。


「再生医療という選択肢」

「喘息」の治療法として、細胞を用いた「再生医療」が注目されています。この治療法は、健康な猫から脂肪細胞を取り出し、体外で増殖させた後、ケガや病気の猫に投与する方法です。身体の自己修復機能や治癒力を活用して病気を治療する手段であり、手術などに比べて負担が少ないのが特徴です。

再生医療は現在臨床研究段階ですが、将来的には有望な治療法となる可能性があります。興味がある方は、ご自身の動物病院で担当の先生と相談してみてください。


「治療費」

猫の喘息で動物病院を受診する際の年間平均診療回数は約2回で、通院1回あたりの平均診療費は約4,550円でした。しかし、猫の喘息は一度の来院で完治する疾患ではなく、安定していても1~3ヶ月に1回は通院して、お薬の調整や副作用のチェック、喘息の状態を確認する必要があります。さらに、緊急時には酸素室での治療が必要となり、1日の治療で2万~3万円の費用がかかる可能性があります。


「予防方法」

猫の喘息の原因となるアレルゲン物質は個体差があり、事前に特定することは難しいです。ただし、喘息を引き起こす可能性のあるアレルゲンを知り、猫の生活空間からできるだけ排除することで、喘息のリスクを軽減できます。猫の生活環境に潜む潜在的なアレルゲンを見直して、喘息を起こしにくい環境を整えることが大切です。


猫ちゃんと飼い主

「まとめ」

猫の喘息について(原因と予防)、猫の喘息はまだ解明されていない側面もあり、咳の症状も気づきにくいことがあります。しかし、早期発見と治療により、多くの猫が喘息の症状を管理できる可能性があります。猫に異変を感じたら、速やかに獣医師に診てもらいましょう。


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