ペットシッターしっぽヶ丘をオープンした日と、始めたきっかけについて教えてください。
布花原さん:はい、オープン日は2019年2月です。ペットシッターを始めたきっかけは、保護猫との別れがあったからです。今、福ちゃんという猫を飼っているのですが、その兄弟猫が2016年の4歳のときに突然心臓病で亡くなってしまいました。
それまでもトリマーなど、ペット業界に携わったり離れたりしていましたが、そのときは一旦業界を離れていました。けれども、その猫が突然いなくなってしまったことで、もう一度ペット業界に戻りたいと強く感じました。昨日まで元気だった子が急に亡くなってしまったことで、日常の大切さに気づかされたんです。
普段のひなたぼっこやおやつを食べるといった、ごく当たり前の日常がどれほど貴重かをその子が教えてくれたような気がして、飼い主様とペットとの日常を支えられるようなお世話がしたいと思い、ペットシッターを始めて約5年が経過しました。
インタビューをお引き受けいただいた理由について教えていただけますか。
布花原さん:そうですね、メールをいただいてからPETLIFさんのホームページを拝見しました。そこに書かれていたのですが、単に施設のサービスを紹介するだけではなく、どのような思いで仕事に取り組んでいるかという点にスポットを当てているところが素敵だなと感じました。
ただ、自分がうまく話せるかどうか分からない中でお引き受けしてしまいましたが…
福ちゃんとの出会いについて詳しく教えていただけますか?
布花原さん:実は最初、私は猫が少し苦手で、ずっと犬派でした。二十代半ば頃までは猫が怖いと思っていたくらいです。しかし、一人暮らしを始めた際に、近所の野良猫ちゃんをなでたりしているうちに、家に遊びに来るようになって、「猫って可愛いんだな」と感じるようになりました。その後結婚を機に、犬や猫の一時預かりボランティアをしてみたいと考えるようになりました。
動物保護団体に登録し、ワンちゃんや猫ちゃんを一時的に預かることにしたところ、福ちゃんとその兄弟のてらちゃんという2匹の猫がやってきたんです。最初の半年ほどは新しい飼い主様を探して譲渡会に連れて行ったりもしましたが、福ちゃんがFIV(猫免疫不全ウイルス)を持っていたためか、なかなか引き取り手が見つかりませんでした。時折、福ちゃんだけ引き取りたいという人が現れることもありましたが、兄弟を引き離すのはかわいそうに思い、最終的に自分の家で飼うことに決めました。
その結果、もう10年以上一緒に過ごしています。現在、福ちゃんは12歳で、我が家にはもう1匹の猫「まんまるちゃん」もいます。まんまるちゃんは13歳で、福ちゃんにとっては年上の後輩のような存在ですね。
「ペットシッターしっぽヶ丘」という名前をつけた理由について教えていただけますか?また、この仕事を続けてこられた支えやモチベーションはありますか?
布花原さん:最初は世田谷区ではなく、埼玉県でペットシッターを始めたんです。そこは「ひばりが丘」という駅がある地域だったので、「しっぽヶ丘」という名前にしました。少し軽い気持ちもありつつも、「これしかないな」と直感的に感じたんです。
その地域でしばらくペットシッターを続けていて、世田谷区に進出したのは2024年の夏からになります。ペットシッターとしての経験は5年ほどですが、過去にトリマーとして働いていたこともあるので、ペット業界全体では約10年ほど働いています。
この仕事を続けてこられた支えやモチベーションですが、やはり動物が好きだということが一番の原動力です。福ちゃんも一緒に暮らしているので、日々の生活の中で動物たちに心が癒されることが本当に多いです。日常的に一緒にいるだけで、動物たちの存在が大きな支えになっていますね。
サービス提供のエリア範囲についてですが、世田谷区だけでしょうか?
布花原さん:基本は世田谷区です。それ以外の隣接地域になりますと、心苦しいのですが交通費をいただくことになります。それでもよろしければ、狛江市や調布市などにもお伺いしています。できるだけ多くの方にお応えしたいと考えているので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
ペットシッターというお仕事柄、お客様との出会いがたくさんあるかと思いますが、その中で心に残っているエピソードなどはございますか?
布花原さん:そうですね。ペットシッターとしてのお仕事では、お客様と直接顔を合わせてお話できるのは初回カウンセリングのときだけで、その後はわんちゃんや猫ちゃんと一対一でお世話をします。そのためいいエピソードというと、普段の飼い主様が見る表情とは違うわんちゃんや猫ちゃんの姿を見せられることが多いですね。
たとえば、その様子を動画や写真に撮ってLINEでお送りすると、飼い主様やご家族の皆さんがすごく喜んでくださいます。過去にはおばあさまもLINEに加わり、「〇〇ちゃんがこんな様子なんだね」と皆さんで共有されて、家族全員で微笑ましい様子を楽しんでいただいたこともあります。
もちろん、あまり頻繁には送らず、1回のシッティングで動画や写真を2~3枚に抑えるようにはしています。お客様の中には旅行中だったり、お仕事で忙しい方も多いので、食事の様子や遊んでいる姿など、コミュニケーションが取れている場面を中心に送るようにしています。
特に猫ちゃんの場合、初回カウンセリングの際は警戒して隠れてしまう子も多いのですが、いざシッティングに行くと、自分から出てきてくれたり、ご飯をねだったりすることがあります。そういう姿を飼い主様にお見せすると、「こんな表情は初めて見た」「こんな風にくつろぐんだ」と驚かれることも多いですね。そういった表情や様子をお見せすることで、飼い主様にも安心していただけるようで、心から「安心しました」と言っていただけると、私もこの仕事をしていてよかったなと思います。
私が小柄なので、猫たちが寄ってきやすいのかなと感じることがあります。体質やにおいなども関係しているのかもしれませんね。
最大でどのくらいリピートされるお客様がいらっしゃいますか?その理由についても教えてください。
布花原さん:リピート率についてですが、ペットシッターのご利用は比較的リピートが多く、7割から8割のお客様が再度ご依頼をくださる印象です。一度お世話を終えた後に、「次回もぜひお願いします」とLINEでお伝えいただくことが多く、再度ご依頼いただけるのはとてもありがたいです。
理由については直接お聞きしたことはありませんが、私の人柄や、わんちゃんや猫ちゃんに対する丁寧な接し方を評価していただいているのではないかと思います。また、当然ですが、わんちゃんや猫ちゃんに安心してもらえるよう、誠実にお世話をすることを心がけています。おそらく、こうした基本的なことをきちんと行っている点が信頼に繋がっているのではないかと感じています。
依頼を受けた際の苦労や、難しい対応をされたことはありますか?
布花原さん:依頼を受けたときの苦労ですか。そうですね、まずはお客様がサービスを利用してくれるかどうかが大変でした。最初からすぐに依頼があったわけではなく、時間がかかりました。埼玉県でシッターを始めた翌年にはコロナがやってきました。少しずつお客様が増えてきたかなという頃にパンデミックが始まり、苦労が増えました。その間、ペットシッターと調理師のダブルワークで乗り切ってきました。
難しい対応についてですが、実は過去にお断りをさせていただいたケースもありました。
通常の吠え癖だけであれば対応できるのですが、少し攻撃性が強く出るわんちゃんがいまして、その子に対しては3、4回挑戦した後でお世話を続けるのは難しいと判断しました。その子は老犬だったので、興奮させてしまうのはリスクがあると感じたんです。
飼い主様には、とても警戒されてしまって攻撃性も出てしまっていること、シニア犬を興奮させてしまうことによるリスクや、私自身がお役に立てず申し訳ないという気持ちをお伝えしました。また、万が一の際の怪我など、お互いの安全性を考慮した上での判断であることを丁寧にお伝えしました。
なかなか懐かない子への対応はどのようにされているのでしょうか?
布花原さん:ちょうど今、懐きにくい子猫ちゃんのお世話をしていて、現在5日目くらいになります。その子はまだ生後4ヶ月くらいなのですが、ずっとベッドの下に隠れている状態です。一般的に子猫は順応性が高く、おもちゃで遊んだりすると興味を示してくれることが多いのですが、この子はじっと私の顔を見ているだけで、なかなか近づいてきてくれません。
そういう子にはやはり「ちゅ~る」が最強のアイテムですね。ただ、ベッドの下にいるとちゅ~るを差し出してもこちらに来てくれないので、布団の中にいるときにさりげなくちゅ~るを差し出してみました。そうすると、驚くことにその場で食べてくれたんです。これが昨日の出来事で、最新の進展です。飼い主様もとても喜んでくださり、「お布団の中でちゅ~るを食べてくれたんですね」と、ハートマーク付きのメッセージをいただきました。
私の場合、こうしたアイテムを上手く活用しながら、少しずつ距離を縮めていくのがコツですね。確かに猫ちゃんは気難しいところもありますが、わんちゃんよりも慣れやすい面もあると感じています。わんちゃんは、一度警戒心を持ってしまうと、なかなか心を開いてくれないこともあり、そういう意味では少し難しく感じることもあります。
少し重複するかもしれませんが、ペットの飼い主様とのコミュニケーションで特に大切にしていることについてお聞かせください。
布花原さん:飼い主様とのコミュニケーションで大切にしていることは、当然のことですが飼い主様それぞれの考え方だったり、わんちゃん・猫ちゃんの性格や個性が一件一件異なっているという理解をすることです。どのご家庭も同じではありませんので、例えば、飼い主様から「おトイレの状況や排便の状態を写真で送ってほしい」とリクエストがあれば、それに応じて写真をお送りしています。また、とても遊び好きな猫ちゃんであっても、飼い主様から「興奮すると食欲が落ちたりトイレをしなくなるので遊ばせないでほしい」という依頼があれば、それを大切にしています。
「遊び好きな子だからたくさん遊ばせてあげよう」といった先入観を持たず、どれくらい遊ばせるかなども細かくお伺いし、飼い主様のご要望に沿うように努めています。
また、排便や排尿の状態も確認してほしいと依頼がある場合がありますが、これも全ての猫ちゃんの分を記録するわけではなく、必要に応じて「トイレの写真をお送りしましょうか?」と確認しています。大半の飼い主様はトイレの写真を必要とされませんが、状態に異変があるときは別です。また、排便や排尿以上に食欲が安定しているかどうかを重視する飼い主様も多く、わんちゃんや猫ちゃんのごはんやお水の温度などもこだわりがある方が多いため、たとえば冬場はお湯を与えてほしい、ごはんをレンジで温めてほしいなど、飼い主様ごとに異なるリクエストに合わせて対応しています。
このペットシッターのお仕事を通して、学んだことや成長したこと、また「やってよかった」と感じたことについてお聞かせください。
布花原さん:最近ではAIの進歩に伴い、自動給餌器や給水器、留守番カメラ、遠隔での空調管理などができるようになり、旅行先からでもペットの様子を確認できる時代になりました。そのため、ペットシッターの需要も以前より減っているように感じます。そのような中で、「AIにはできないことは何だろう?」と考えたときに思うのは、やはり人間の「生身のぬくもり」や「気持ちのこもった対応」です。
実際にペットに触れてなでたり、声をかけたりといった人間の温かみのある行動は、AIには決してできないことだと思っています。そういった、心のこもったケアを提供し続けることに意義を感じており、それがペットシッターとしての私の強みであると感じています。
これまでにお客様から「こうしてもらえるとありがたい」というご要望や、フィードバックなどはありましたか?
布花原さん:そうですね。例えば、預かりの期間に関して「1泊だけではなく、2泊3日でもお願いできますか?」といった問い合わせや、ホームページに載せている情報を見て「手作りごはんを用意していただけますか?」というご要望もありますね。また、対応エリア外からのお問い合わせも多く、少し心苦しいですが、対応が難しいこともあります。
現在、移動手段が自転車なので、車があればもっと多くのお客様に対応できるかもしれません。以前は原付で移動していたのですが、今は自転車のため、お伺いできるエリアが限られています。動物病院への送迎もご希望されるお客様がいらっしゃいますが、車がないため、お断りしているのが現状です。
また、手作りごはんの対応も今は正直難しいところです。そのほかのご要望については、できる限り対応させていただけていると思います。
お客様が私のことを見つける手段としては、ホームページや口コミ、Google検索が主です。お問い合わせはLINE公式アカウントからが一番多いので、Google検索でLINEを見つけてくださるのだと思います。
宣伝方法としては、ホームページとオンラインが中心ですが、今後はもっと力を入れていく必要があると感じています。近くのマンションにビラを配布させていただくなども試みています。
依頼のチラシについては、広告専門の業者に依頼して作成してもらっています。世田谷区のペットシッターで検索すると口コミの数が上位に影響するので、口コミを書いていただけるとありがたいです。お世話が終わった後に、会えないお客様へサンキューカードを置いて口コミをお願いしていますが、なかなか難しいところです。
口コミをいただく際も、ペットの名前が入っているとわかりやすいです。「○○ちゃんの飼い主です」と書いてくださる方も多く、それでこちらもすぐに把握できますね。例えば、口コミを書いてくださった方に割引などの特典を用意するのもいいかもしれません。工夫が必要だと感じています。
年間で対応される件数はどのくらいになりますか?
布花原さん:そうですね、実はコロナ禍でお休みしていた時期もあったりして、正直、年間の正確な件数を把握できていないんです。件数を数えるのが難しい状況ですね。お問い合わせに関しても、平均すると4日に1件くらいのペースでしょうか。毎日問い合わせが来るわけではないです。世田谷区での活動を始めた際、チラシを撒いてみたりと試みもありましたが、世田谷区はペットを飼っている方が多い地域だと感じています。お散歩されている方も多く見かけます。
また、私のホームページはスマホでもパソコンでもトップページが見やすいように設定しています。訪問者がインタビューを見られるようにしているので、少しでも多くの方に見ていただければと思っています。
今後、チラシを配布する際には、ペットが多くいるマンションやエリアに配ってみたいと考えています。特にオートロックのマンションや、大型スーパーの「サミット」の近くのマンションには多くのペットを飼っている方がいらっしゃる印象です。配布方法については、どうすれば効果的か、もっと考えていきたいですね。
今後もずっとお一人で活動されるご予定ですか?また、何か問題にぶつかったときにはどのように解決されていますか?
布花原さん:私の場合、主人に頼ることが多いですね。何か困ったことがあれば、彼に相談しています。いまったく別の分野の仕事をしていますが、私の活動に関してとてもサポートしてくれます。主人は実は猫アレルギーがあるんです。猫を飼い始めてから、幼少期にアレルギーがあったことを思い出したみたいで、最初は本当に息苦しくなってしまい、一度車で寝てくると言って外で過ごしたこともありました。でも、アレルギーがある方もあきらめずに猫を飼う選択ができると思います。主人も最初は赤くなってかゆみが出ることもありましたが、今では全く問題なくなりました。
布花原さんが活動される中で、尊敬している方や同じ業界で目標にしている方はいらっしゃいますか?
布花原さん:そうですね…「この人のようになりたい!」という方は、正直いないかもしれません。あまり他の方を調べたりすることもなく、横のつながりも持たずに、自分ひとりでやっている感じですね。周りの方からも同じことを言われることが多いんです。
もともと調理師をしていたことがあるのですが、どうしても人との関係がうまくいかず、自分ひとりで仕事をする方が性に合っていると感じています。おそらく、人間関係が苦手な部分があるのかもしれません。
実際に稼働される時間帯についてお伺いしますが、活動の多い時間帯や予約制について教えてください。
布花原さん:基本的には予約制で、お世話の内容によって朝昼晩の時間帯に分かれています。例えば、朝夕の1日2回の方には朝夕のご飯をあげたりといった形になります。朝昼晩の流れで動くことが多いですが、具体的に時間を決めているわけではなく、「午前中の間」「お昼頃に」といった感じで訪問しています。
ワンちゃんのお散歩も承っており、こちらも多くは1時間程度の内容で、例えば朝1時間、夕方1時間といったスケジュールです。お散歩のみのご依頼の場合は30分ほどが一般的で、飼い主様がリードをつけて待っていてくださるので「行ってらっしゃい」と送り出していただいています。
ホームページに「保険に加入している」と書かれているのを拝見して、他社ではあまり見かけない点が興味深いと感じました。
布花原さん:そうですね、実は多くのペットシッターが保険には入っていると思うのですが、あまり表に出していないのかもしれませんね。保険の加入を公表しているところが少ないので、そう感じられたのかもしれません。私としても、本来はそういった情報をしっかり出してもらえると良いのですが。
実は、掲載している理由の一つに、一般の方々が求めている「当たり前のことがきちんと明記されている会社」に対する信頼感の醸成があります。例えば、緊急体制が整っているかについて、ホームページに記載がなかったり、当日になって初めて説明されると、お客様も不安に感じることが多いですよね。ですので、口頭だけでの説明ではなく、事前にホームページなどで明確に示しておくことが、安心感を持っていただくために大切だと考えています。
ペットシッターとして、何か特別なサービスを提供されていますか?
布花原さん:実は以前トリマーをしていたので、シャンプーやドライ、お尻周りや足周りなどの簡単なカットにも対応しています。また、最近は高齢の猫ちゃんも増えてきていますよね。介護というほどではなくても、やはり汚れてしまうことも多いので、そういった時に洗って乾かしてあげたり、少しカットしてあげるなどのお手伝いができるようにしています。トリマーとしての経験はとても役立っています。
特にシニアのわんちゃんや猫ちゃんの場合、オムツ替えのニーズも増えていくのではと考えています。今後はこうした介助についての知識をさらに深めたいと思っています。
また、料金体制やどこまでのケアが専門的な範囲になるかについても、しっかり学んで区分けを明確にしていきたいです。リハビリなどに関する部分も少し近いところがあるため、こういった課題に取り組んでいるペットシッターの方は多いのではないかと感じますね。
さらに、投薬に関しても、獣医さんから「投薬をお願いします」と指示された薬であれば、ペットシッターとして対応しても良いのではと考えています。
緊急時の対応について教えていただけますか。
布花原さん:初回カウンセリングの際には、必ずキャリーバッグを用意していただくようにお願いしています。万が一、急病や緊急事態が発生した際には、かかりつけの動物病院にお連れすることができるように準備しています。
ご自宅でお留守番中の際、特に夏や冬の時期に停電が起こった場合のことも考慮しています。エアコンが停止してしまった際の対応として、ブレーカーの位置なども事前に確認させていただいています。ただし、停電時にはブレーカーを入れ直しても電力が復旧しない場合があり、その時の状況に合わせてできる限り対応する形になります。
また、万が一ペットの体調が急変し、飼い主様と連絡が取れない場合は、こちらの判断で対応可能な動物病院にお連れすることとしています。その際にかかる医療費などは、後日飼い主様にご請求させていただく形です。これまで実際に緊急搬送や停電のトラブルが発生したことはなく、そうした事態が起きないのが一番ですが、万が一のために備えています。
ペット業界をより良くしていくために、変えていきたいことや変わってほしいと感じることはありますか。
布花原さん:そうですね、特に開業に際して感じたのは、賃貸物件に住んでいる場合の許可取得が難しいことです。私も当初は実家のある埼玉で開業しました。そのため、実家の住所で登録することができ、今も事務所の登録は埼玉、活動範囲は世田谷としています。埼玉県の許可も得ているので何とかできていますが、例えば賃貸住まいでペット業を始めたい方や、ペットホテルを運営したいという方は、物件の制約で開業が難しいのが現状です。
やはり賃貸物件だとペット関係の事業は制限されることが多く、業界の基準が一律ではないので、柔軟な対応が求められる一方で、基準が厳しくなり過ぎている部分もあるのでそこがもう少し緩和されるとありがたいなと感じます。
今後の展望について教えていただけますか。
布花原さん:まだ始めたばかりではありますが、今後の展開としては、特にペットの介護分野に注力したいと考えています。お話を伺う中で、長年ペットシッターをされている方が「現在お世話している子で手一杯」という状況であることを知りました。そのため、私は最初から介護分野に特化していくのも良いのではないかと思うようになりました。
ペット介護の需要は非常に高まっていると感じますし、今後も増えると思います。ビジネスとしても、ペット介護を前面に打ち出していくことには大きな可能性があると感じます。
介護分野に興味を持ったのは、ある17歳の猫ちゃんのお世話をしたことがきっかけです。その猫ちゃんはオムツをしていて、オムツ替えをしているうちにとても愛おしく感じられました。長年の飼い主様との歴史を感じると、言葉では言い表せない感情が湧いてくるんです。お世話をしながらも、少しずつ飼い主様やペットへの深い愛情を実感し、この分野でさらに学び、貢献していきたいと強く思っています。
また、知人のお手伝いでリングドックに関わる機会があり、リングドックというサービスがとても素敵だと思いましたので、いずれ自分でも挑戦してみたいです。
リングドックは結婚式で新郎新婦様のワンちゃんが指輪を首輪に付けて、バージンロードを歩いて届けるという役割を果たすものです。ブログなどで事例も見かけますが、私の友人もこの役割を行ったことがあり、とても楽しそうでした。ワンちゃんがまっすぐ届ける姿もあれば、あちこちに愛嬌を振りまく姿もあり、会場全体が和やかな雰囲気に包まれます。
私もこのようなお手伝いができればと思いますが、やはり1人では難しい部分もあるので、いずれはスタッフを増やして色々と対応できるようにしていきたいですね。
施設情報
ペットシッターしっぽヶ丘
〒157-0071 東京都世田谷区千歳台6-9-6
03-6325-5143
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