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NPO法人キャットセイビア



NPO法人キャットセイビア PETLIF


NPO法人キャットセイビアを設立されたきっかけを教えてください。


伊沢さん:2007年に猫カフェを知り、自分で猫カフェ(たまねこ)を開こうと思い立って2008年に開業して以来、猫との関わりが自然と深まっていきました。

当時は猫を取り巻く環境についてほとんど知識がなかったのですが、お店の下に捨てられていた子猫を保護したり、市民の方が保護した猫を一時的に預かることが増えていく中で、行き場のない猫たちを支える必要性を強く感じるようになりました。


その後、ご縁があってラグドールのブリード(Sweetpixy)にも携わることになったのですが、その過程でブリーダーや保護活動の本来の意義についても深く考えさせられましたね。

なぜ飼い主のいない猫たちが増えてしまうのか、どうして殺処分がなくならないのかと考えて、国民の意識改革や法律、政治を変えていき、サポートをすることが必要なんだと感じました。そこで、猫たちの福祉や保護活動をより広め、動物愛護法の改正などにも関わるためにNPO法人を設立することを決意しました。



NPO法人の活動内容を教えてください。


私たちNPO法人キャットセイビアでは、さまざまな活動を通じて猫の保護と譲渡に力を入れています。特に、子猫の保護を中心に取り組んでおり、里親様を常時募集しています。主にSNSを利用して情報を発信し、不定期に譲渡会も開催しています。また、里親様とのつながりを大切にしており、交流LINE会を通じて情報共有を行っています。


さらに、年に2回、猫に関するセミナーも開催しています。このセミナーでは、猫の適正飼養や終生飼育についての重要性を伝えています。人と猫が共に快適に暮らすためには、猫の避妊去勢が不可欠です。多頭崩壊や虐待の早期対応にも取り組み、一般市民への啓発活動を通じて、より良い社会を目指しています。


実際、外の猫の繁殖能力は非常に高く、無責任に増えてしまうことがあります。そのため、飼い主のいない猫を増えないように管理することは、人間の責任だと考えています。私たちの活動が、猫たちと人々の幸せな共生につながることを願っています。



NPO法人キャットセイビア PETLIF


経営されている猫カフェやペットホテルの集客のための取り組みはありますか。


伊沢さん:猫カフェに来店されたお客様には、HPで謳ってはいませんがサービスの一環として写真撮影もしています。おやつタイムでお客さんがおやつをあげているところなどを撮ったりしています。また、カフェのアプリがあるのですが、そちらで来店ポイント制度も導入しています。10ポイントごとに景品のおやつなど色々準備しています。今、最高来店記録50回という方がいらっしゃってその方がダントツなんですが、まさかそんなに来店してくださる方がいると思っていなかったので50回の景品には悩みましたね。その方は今も記録を更新し続けてくださっています。


集客のための取り組みとはまた少し違うかもしれませんが、カフェもホテルも掃除は徹底して綺麗にしていますね。清掃業者に委託をしたりボランティアスタッフにも協力いただいて、常に清潔で匂いが気にならない環境づくりを心がけています。



こちらの施設で一番長生きされている猫ちゃんはおいくつですか。


伊沢さん:保護した子で一番長生きなのは16歳の女の子のサビ猫ですね。あとはカフェの方に15歳の子がいます。その子は初期スタッフで、里親さんに出さないうちの子ですね。性格もいいし、色々なお客さんにも寄っていく社交的な子なので、里親さんに出すよりここでスタッフとしていてもらおうかなと思って。その子達以外は若い子ですね。


NPOで保護している子とカフェの子を合わせると全部で40匹くらいになりますが、第一種の販売に課せられた飼育頭数の制限が30匹なので、本来はそれくらいの頭数が理想ではありますね。



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ホームページやSNSでの発信はされていますか。


伊沢さん:NPO活動、猫カフェ運営、そしてラグドールのブリーディングといった事業や活動ごとにホームページやブログ、SNSアカウントを作成して、それぞれのプラットフォームで異なる情報を発信しています。すべて合わせると30くらいでしょうかね。自分で修正や編集することが難しいものは外注する場合もありますが、最近はその外注したの作業も自分でできるように学び始めています。


コンテンツを考えて作るところから投稿までを全て一人で行っているので、どうしても力が分散してしまっているところがあります。すべてを常に動かし続けるのは本当に大変ですね。最近は頑張ってTikTokにも挑戦して、ちょっとだけバズったりもしましたが、まだまだフォロワーや閲覧数などに繋がっていないなと感じています。



色々な方からの援助がある中で、一番不足してしまうものは何でしょうか。また、事情があって飼い続けられなくなった猫の受け入れなどはされていますか。


伊沢さん:医療費ですね、一番費用がかかるのですが一番援助してもらいにくい部分かもしれません。里親さんからは物資だったりご飯やおやつ、あとは寄付をいただくこともありますが、医療医がとにかくかかってしまうので追いつかないというのが実態です。ER(救急)にかかると1回で10万~20万円くらいは必要になってくるので、二の足を踏んでしまうのが今のところの課題ですね。


おそらく東京の愛護団体では初めてのことだと思うんですが、多摩市の地場の産業として市に認められて審査が通ったので、今後ふるさと納税が行えるようになります。申請に一年くらいかかって何度も相談に行って、つい最近申請が通ったと連絡がありました。まだ手続きなど準備を進めている段階ではありますが、こういう面からもやれる手は尽くしていますね。


多摩市と提携していて、多摩市経由でお話が来ることが多いですね。高齢で亡くなったり入院されることになった方の猫を受け入れることはあります。ただ、世間が言うほどの件数はなくて、年間で数件くらいですね。



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マイクロチップの普及に関して保護猫の視点ではどう思われますか。


伊沢さん:マイクロチップの普及は、保護猫にとってももちろん必要だと思っています。諸外国では既に義務化されていますし、日本も法改正によって第一種動物取扱業者が取得した犬猫に対してのマイクロチップ装着が必須となりました。うちのラグドールの子たちにも全員つけています。保護猫にも全員つけたほうが良いと思いますし、最終的にはすべてのペットに広がるのが理想ですね。

ただ、やっぱり「体に異物を入れたくない」と感じる飼い主さんもいるみたいで、去勢や避妊への抵抗感に似たものがあるかもしれません。個人的にはそれはちょっと偏った考えだなと感じますが、もちろんアニマルライツ(動物の権利)視点も大事にしないといけませんね。ただ、動物を守るためにマイクロチップは役立ちますし、災害や事故、迷子のときにも飼い主さんのもとに戻ってくる確率がぐっと上がるので、やっぱりこういった管理は人間がしっかりやるべきだと思います。



介護施設に猫や犬を導入する試みがありますが、どう思われますか。


伊沢さん:特に猫はなかなか難しいと思います。環境が変わると嫌がりますし。あと、私が聞いた話では、痴呆や認知症が入っている方の中では入居者に対して動物の数が少ないために、誰が抱っこするかで取り合いが始まってしまうという話も聞いています。

また、アレルギーの問題もあります。以前アレルギーを研究している先生とお話しする機会があったのですが、猫のアレルギーは犬アレルギーよりすごく多く、アレルギー対策が難しいそうです。ただ、高齢になるほどアレルギー反応は減るはずとは言われてはいるようですけどね。

施設における動物の扱いについて、こういった問題や課題を今後どのように解決していくかが難しいところですね。



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次世代の方へ受け継いでいきたいことはありますか。


伊沢さん:もちろん動物福祉一点です。人間と動物が共生していくためにはそこを第一にみんなが考えて行動して欲しいなと思います。

お母さんがミルクボランティアをやっている方のお子さんで、この子にならNPOができるなと思う子がいますね。まだ小学生ですがお母さんのボランティア活動から色々なことをどんどん吸収しているんです。素人繁殖はダメですよ、避妊してくださいねと伝えている里親さんから「1回だけ出産させてもいいですか」と相談されたことを知ったときに「なんでそんなことするの?」と、私たちの活動のことを幼いながらきちんと理解してくれているんです。



保護活動をより良くしてくためにはどうしたら良いと思いますか。


伊沢さん:まずは幼齢個体が出ないようにしたいですね。ここ10~20年で全体としてはガクッと減ってきてはいるんですよね、昔は100万頭が殺処分されていましたから。今は1/10以下の1万頭まで減ってきてはいますが、殺処分される犬猫の数をゼロにしたいという思いはあります。都道府県によって殺処分の数は全然違っていて、殺処分が多い地域では行政がもっと頑張るべきですし、その都道府県にいるNPOや県民も意識を変えていかないといけない。


東京都ではだいぶ浸透してきている印象ですし、私がホームページに「あなたがやるんですよ」ということを載せているんですが、それを見てレスキューしてくださる方も増えました。保護団体やボランティアが市民に「丸投げはダメですよ」と促して、一人ひとりができるようになることが重要ですね。保護団体も里親さんへの橋渡しなどはもちろんやりますし捕獲器の設置方法なども指導しますので、保護だったり初期医療費の寄付などは市民の皆さんにも行ってほしいです。


保護活動にはTNR(捕獲、不妊手術、リリース)が必要になりますが、これをやりたくない方を説得するのは非常に難しいです。

学校教育で道徳の授業などに動物福祉を取り入れてくれないかなとも感じます。どれだけ「動物に害を加えるべきではない」と伝えていても、動物虐待をして人が軽い罰で済んでしまう現状に驚きます。どんなにひどい虐待をしていても罰金10万円で済んでしまうんですよね。厳罰化に向けての署名活動にもしていますが、罰金5万や懲役3年以下などの軽い罰では根本的な解決は望めません。こういう現実があることを市民の皆さんに認識して関心を持ってもらえるよう動くことがNPOのやるべきことなんだろうなと感じます。NPOだけではなく、政治家やインフルエンサーにももっと声を上げて欲しいと思いますね。


現在、里親さんやブリーダーオーナーさんたちとそれぞれ200~300人規模のLINEグループを作っています。仮に私が何かあったとしても、今いる保護猫やカフェの猫たちに関してはそのメンバーが支えてくれるであろう繋がりを作っています。「この子たちをお願いね、私の遺言よ」という話をボランティアさんたちにも常々していて、一種のリスクヘッジとしてブログでも「遺言」を書くことがあります。少しずつではありますが、里親さんたちを巻き込むことはできていますが、それ以外の無関心な層や動物嫌いの人々にも、もっと関心を持ってほしいなと感じています。大げさに言えば、動物嫌いな人でも医薬品や食料などで動物の命に依存している部分があるはずなので、協力しましょうよって伝えたいですね。


たとえば、日本でヴィーガンの学校給食を一日だけ取り入れた際に反対意見が出たり、日本国内での犬食禁止の署名活動を行うと誹謗中傷が来たりする現状を見ると、日本では動物に関しての拒絶反応が強いんだなと感じます。動物も人間と同じ生きているもので、痛みや感情があるということを理解した上でその命をいただくという、動物への感謝の気持ちが足りてないのかなと。動物を食べること自体を否定はしませんし、私はヴィーガンというわけではありませんが、なるべく減らしていきたいなという立場ですね。



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日本のアニマルウェルフェアについて、どう思われますか。


伊沢さん:動物のことは環境省と農林水産省と厚労省とで管轄が縦割りになっていて、国内でなかなかうまくいかない理由の一つはそこにあるなと感じます。こども家庭庁のように動物省みたいなものを作るかいずれかの省で統一されるといいですよね、色々と政府への要望はあります。動物の所有権に関して民法から変えていこうという取り組みをされている議員さんなどもいますが、まだまだ関心を持って活動されている議員さんの数は少なくて、声をあげても右から左なんだろうなと感じることも多くあります。


本気で動物愛護に携わるなら法改正や政治家を動かす必要があるんですよね。動物愛護に関わっている方の中でも政治に関しての温度差はすごくあるので、そこを皆さんにわかって欲しいなという気持ちは強くあります。


市民の声としてあげていけば政治家は動いてくれるので、そこをどれだけやれるか。私は多摩市の行政にも動物事業に関して声をあげているのですが、行政はどうしても新しいことに対して腰が重い部分があります。先日多摩市の施設を借りて譲渡会を行うことができたのですが、その施設をお借りするために6年ほどお願いを続けていました。これは一歩前進だなと感じています。


あとは、東京都が保護猫の助成事業を始めても、市区町村はやりたくないのでなかなか動いてくれません。なので私たちが市議会議員を巻き込んで市区町村に訴えると言うことを本当に何度も行って、ようやく助成を受けられるようになりました。しつこいくらい声をあげ続ける、諦めない、ということが大事なんだなと実感しましたね。保護団体の方は優しい人が多いので、一回言ってダメだったら諦めてしまうことも多いようなのですが、諦めないでほしいなと思います。



施設情報


NPO法人キャットセイビア

〒206-0033 東京都多摩市落合1-19-16 パークタマ202

042-316-5220

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